元ネスレCEO「〇〇が見つかれば5倍の値段で売れる」

2022年12月9日 2022年12月5日

MIYOSHIYA

「〇〇が見つかれば、5倍の値段でも売れる」
と言ったのは、ネスレ日本の元CEO高岡氏。

「キットカット」や「ネスカフェアンバサダー」など、数々のヒット商品を手がけて、ネスレ日本を大きく成長させた凄腕のマーケターです。

そんな高岡氏が、「〇〇を見つければ、その商品は5倍の値段でも売れる」ということをある取材の中で言っていたのですが、、、この〇〇に入る言葉、あなたは何だと思いますか？

一杯10円でコーヒーが飲めるのに、ネスレのコーヒーに一杯60〜80円払う理由

今から数年前くらいの話です。当時から、スーパーに行けば、たくさんの種類のドリップコーヒーが置いてありました。高いもの安いもの色々ありますが、大抵のものは、1杯およそ10円〜20円程度で売られています。

そこに、ネスレはなんと、一杯およそ60円〜80円するようなドリップコーヒーを新商品として出すことにしたのです。価格差はおよそ5〜6倍。たかが数十円と思うことなかれ。毎日飲む人なら、月々3,000円と15,000円の差、1日2杯飲む人なら、6,000円と30,000円の差が生まれるわけです。

一方では6,000円でそこそこ満足できる商品が買えるのに、似たような商品を30,000円で売る、、、商品競合の5倍以上の価格なんて、なかなか攻めた価格設定ですよね、、

でも、勝算はあったと、高岡氏は言います。

というのも、ネスレは、競合がまだ誰も気が付いていない、「顧客のちょっとした変化」に気がついていました。どういうことかというと、、、

ひと昔前は、朝食は家族みんなで揃って、パンを食べながらコーヒーを飲むというのが、日常の風景でした。しかし、核家族化で共働きの時代になり、家族がそれぞれバラバラの時間に家を出るようになりました。当然、朝食も別々で、1人で食べることが多くなってきていました。

そうすると、今まで毎朝ドリップコーヒーを家族の分まで淹れていた人も、毎回毎回自分の一杯のためにお湯を沸かすのは面倒だと思い始めていました。コーヒーは飲みたいけれど、毎朝、自分1人のためにお湯を沸かすのは面倒だから、コーヒーではなく、ジュースやヨーグルトドリンクで済ませている人たちが多くいたそうです。

ここに勝機を見出したのが、ネスレです。今では当たり前になりましたが、当時では画期的な新商品、カプセルを入れてボタンを押すだけで、おいしいコーヒーが出てくる「バリスタ」を発表しました。「バリスタ」は瞬く間に大ヒットサービスになりました。

核家族化が進み、「自分1人のためにお湯を沸かすのは面倒」という新しい悩み・問題を見つけ、それを解決するためのサービスを提供しよう。そうして生まれたのが、このサービスです。

高岡氏は、言います。

「バリスタは、まさに世の中の新しい現実を捉え、そこから生まれた新しい問題をどう解決するかという中で生まれた一手です。実際、スーパーでドリップコーヒーを1杯10円、20円で安売りしていても、60円、80円するネスレのカプセルのほうが売れるわけですよ。これだけデフレでもですよ。ネスレのように新しい顧客の問題を見つけられれば、コーヒーマシンを買ってまで、1杯当たり5倍もする価格のコーヒーを喜んで飲んでくれる。
結果で見ると、恐ろしい差が生まれるわけです。」

顧客の問題を見つければ、5倍の値段でも売れる
さて、これが冒頭のクイズの正解です。

顧客のまだ解決されていない問題や悩みを見つけることが出来れば、たとえ価格が5倍でも商品は売れる。

ポイントは、世の中が変化するにつれて、顧客の問題や悩みも変わっていくと言うこと。上のネスレの話なんかは、まさにその典型例で、核家族化が進み、顧客の生活スタイルが変わったことで、「1人1杯のコーヒーのためにお湯を沸かすのは面倒だ」という新しい問題、悩みが生まれました。

それに気がつけるか、あるいは見逃してしまうか、で、結果は大きく変わるという事です。

お客さんの『問題』を見つけよう
外に出て、お客さんと会って、お客さんの問題を見つけましょう。今、お客さんの生活スタイルはどんどん変化している真っ只中です。その変化によって、どんな新しい問題、悩みが生まれているでしょうか？

それを見つけることが出来れば、あなたの商品も、競合の5倍の金額を払ってでも欲しい！と言う人が出てくるかも知れません。

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